「アメリカン・ギャングスター」を観て

「砂の器」を思い起こしたのはたぶん私くらい(笑)

以下「アメリカン・ギャングスター」のネタバレを含みます

監督リドリー・スコット
主演ラッセル・クロウ、デンゼル・ワシントン

手練と芸達者二人が見せてくれたのは
70年代アメリカの暗部のエンタティメントかな。

「麻薬王」フランク・ルーカス(デンゼル)がのし上がっていく様と
決して買収されない刑事リッチー・ロバーツ(クロウ)が
麻薬捜査でフランクを追いつめていく流れは2時間半の長尺を感じさせないおもしろさ。

*******

犯罪者とそれを追う警察の姿が交錯して描かれるという構成は似ていても
それが「砂の器」を彷彿とさせるということではありません。
それまでずっとおもしろく観ていて、突然「砂」を思い起こさせたのは
クライマックスのフランクをリッチーが逮捕するシーン。

この映画は始まって1時間以上、二人が会うシーンはない。
目立たぬように振舞うフランクはなかなかリッチーの捜査戦上に上がってこない。

それが
「弱い奴が力を誇示するために派手に振舞う」
という信条から少し外れたことをきっかけとして
フランクの歯車が狂ってくる。

フィアンセから送られた5万ドルの毛皮のコート。
それをまとってモハメド・アリ戦を観戦したフランクは
見えない”麻薬の元締め”の手がかりを捜しにきたリッチーの目に留まる。

あの高そうな毛皮のコートを着た黒人は誰だ?
セレブと握手をかわし、
イタリア・マフィアのドンの一人よりも上席で世紀のタイトル・マッチを観る男は?

そればかりでなく犯罪者の上前をはねる汚職刑事にも目をつけられることとなる。

そして最後には
彼の最も力になっていた血縁による”ファミリー”の一人の
裏切りによって
ヘロインの工場を押さえられる。

そして逮捕のシーン。
「Amezing Grace」の流れる中、
フランクが教会から出てくると
車にもたれて一人の男が立っている。
その男とはリッチー・ロバーツ。
フランクは彼を知らない。
だが身辺に危険が及んでいたことがわかっていた彼は
その男が刑事であることを見抜く。
辺りを見ると、すでに警察に囲まれている…………


このシーン、痺れました。
同時に
私はあのドラマはこういうシーンが見たかったんだよなあって
思いました。

追う者と追われる者が初めて顔を合わすシーンが頂点……というね。

それまでをもたせるのがなかなか難しいんですけど。

コメント

MAYUKO
MAYUKO
2008年2月8日9:20

お〜〜〜っとユーリさん語り合いたいですね

私も思いましたよ!

そうそう、逮捕のしかた
こんなやり方があったじゃない!って・・・

ユーリ
ユーリ
2008年2月8日17:47

>MAYUKOさま

MAYUKOさまもですか!
それは嬉しいです!

今さらなんですけれど……

音楽もよかったですよね。

そして”ヒミツ”の件、よろしくお願いします。

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