ちょっと遅くなりましたが、今回の「HERO SP」の感想です。
いわゆる「辛口」の部類に入るものだと思いますので、あらかじめ。


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始まって、最初に思ったこと。

「……遅い……」

なにって、テンポが。

感じている方も多いと思うが、「HERO」の本編というのは
シリーズを通して流れていた独特のテンポというものがあって、
それが魅力の一つだった。
軽く、心地よいリズムのようなものがあって、それに芸達者な役者さん達の演技が加わるとワクワク感が2倍にも3倍にも膨らんで、ドラマが一層おもしろくさせていた。
澤田監督は本編の時も参加しているし、最後の城西支部でのシーンを見ると決してできなかったわけではなく、あえてそうしなかったのだろう。
都会から遠く離れた地方都市の話なので、都会的なあのテンポは避けたのかもしれない。
でも今回のSPで、あのわくわくするテンポを期待していた人間としては、なんとなくスカされた感じがするのは否めない。
できないのかと思っていたら、最後の東京のシーンで
「これだよ、これ」と思った人は多いだろう。
これは好みの問題なので、気にならない人は気にならないでしょうが……

……で、やはり「HERO」のおもしろさの一つである、脇の人達の「コミカルな掛け合い」であるが…………

………こういうのはほんと、難しいんだなって…………

何がいけないのだろう?と考えた。
演技?演出?
たぶん役者さん同士の「息の合わせ方」なんだろう。
こういうシーンは笑えるセリフを言い合いしているだけではおもしろくないのだ。
城西支部のメンバーのまさしく「息がぴったり」だった。
そういう意味での「息の合わせ方」を調える時間がなかったのかもしれない。

そして久利生公平。
久利生くんはまちがいなくカッコいい人だ。
だが、どんなカッコよさがいいのかは人によって違う。
それは見る側はもとより、作る側にも言えることだ。

本編で澤田監督が担当した回に第10話がある。
この話は人気キャスターへの暴行を疑われた青年が、真犯人は別にいると知っていながら保身のためにそれを伏せた被害者や警察に追い詰められ、結果自殺に追いやられる。
この10話では久利生公平が初めて涙を見せる。
警察やマスコミという強大な権力を有しながら、人に対してその力を行使することの恐ろしさを忘れた者への強い怒りに、涙を浮かべてその非を訴える。

澤田さんはこの久利生公平に「まいっちゃった」んだと思う。
彼にとって久利生公平のカッコよさとはこういうところなんだろう。


今回のSPの久利生公平の最大の見せ場は
石橋蓮司演じる代議士秘書を牽制するために事務所を訪れるシーンである。
久利生はそこで事件の発端となった女が代議士事務所から出てくるの見て、すべてのからくりを悟る。
その前に自分が秘書にかけたカマが真実だったと知った時、
彼の目に怒りが宿る。
それは己が身勝手な欲望のために、自分が住む町と美しい海と恩人の残したものを守ろうとした一人の誠実な人間を殺人犯にしてしまった権力を持つものへの怒りだ。
だが、久利生はこみあげてくる怒りと、女に真実を問い正したい気持ちを今は「歯を食いしばって」抑え、その口の中で押し殺した気持ちを「Lock on」という一言に乗せて、代議士への追及の決意を表す。
この一連の芝居は監督にはたまらないものがあったろう。

(なぜ追及を今は抑えたかといえば、その前のシーンで秘書と話したように「女を紹介しただけでは罪にならない」「脅迫の教唆を証明することが罪に問える」ということになるわけだが、それはかなり困難なことだろう。脅迫者自身は殺されてしまったし、仮に脅迫が証明できたとしても、秘書が罪をかぶる可能性が高い。この件で代議士まで追及するのは難しいだろう)

本編が放送当時、ある雑誌が久利生のことを
「温度の低いヒーロー」
と表した。
確かに本編の、当時のチーフDだった鈴木監督が描く久利生はもっと飄々とした感じであまり熱さを見せない。
犯人や不正に対しての怒りは見せるが、もっと抑えた感じだ。
恐らく先のシーンでの「怒りを抑えるために歯を食いしばる」姿さえ見せない、と思う。
鈴木監督はストイックなまでに己の感情をむき出さない久利生公平が「カッコいい」のだろう。

だが、澤田監督はもっと「温度の高い」久利生が好きなのだろう。
人のために感情を滾らせてくれる久利生公平が。
「熱くなるのはカッコ悪い」という風潮の中で育ってきたであろう監督だからかもしれない。


ただ、
私としては、
熱くなる木村さんと言うのは案外別でも見られるところなので、
「久利生公平」はどこか飄々と、余裕を残したキャラクターであってほしい、と
思っているんですけれど…………


(でもあの一連の芝居は一番のリピートポイントでなあるけれどもね。あの目は大好きです)

もし続きが作られるとするならば
どちらの「久利生公平」が望まれるのか、出てくるのか
それとも古巣の城西支部に戻ったことで新たな「久利生公平」像になるのか。



上記のシーンが久利生公平の見せ場なら、
ドラマとしての見せ場はもちろん滝田の自白のシーン。
「23分の長回し」で撮ったということでしたが……
でも、細かいカットが入っているから、23分をそのまま流したわけではないんですよね。
だから正確に言うなら「23分のノーカットシーン」というところでしょう。
中井さんの芝居は素晴らしかったです。

あれはとてもいいシーンだった。
いいシーンだったけれど、すごいシーンだったかといえばそれは……
私はもうちょっと画(え)としての緊迫感がほしかったのです。
もしかしたら監督は役者さんの芝居を優先したのかもしれない。
でも、
いい芝居をしたから、必ずしもいい画になるとは限らないわけで。
お茶の間に流すテレビドラマだから意図的に少しやさしい感じにしたのかもしれませんが……


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………これ書くのに3日間かかってますよ………
もっと気楽な感想にすればよかった………

コメント

ひな
ひな
2006年7月7日21:51

お疲れ様です(笑)
ねぇ 気持ちを活字にするってホント難しいですよね。
声みたいに抑揚で表せるものではないし・・・
だから私、モヤモヤを表現できないと思ったので 「肩がカクン」だけで逃げてました〜(笑)

MAYUKOさま ユーリさまがコメントしてくれるだろうと。。

やっぱりSPはやるべきじゃないかも。時間も限られているし、無理が。。。

なるほど 監督で違うんですね〜。
本人は「歯を食いしばる職人」=HEROだって言ってるから、そういう久利生を演じたいのかしら?

「温度の低いヒーロー」・・かぁ
そういえば 城西支部の人たちって、普段温度低くて・・時々発熱するから面白かったんでしょうか?

コミカルな掛け合いは模倣では面白くありません。
私は今回 ダウンJKと堤さんの掛け合い?が面白かったけど・・
「あるよ」のあの人も あの場所へ連れて行っちゃあダメでしょ(笑)。

長回しのシーンは
中井さんのインタビューで ものすご〜〜〜く期待しすぎちゃいましたしね、私達。
とくダネ!での本人のコメントからも もっと緊迫感のあるシーンを勝手に想像してたしね。

いけない、いけない。
突っ込みだしたら限がない(笑)
今は 小ツボな部分をリピして楽しむ余裕ができました〜。

ユーリさま ありがとう!!

ユーリ
ユーリ
2006年7月8日9:06

ひなさま、疲れたよ〜〜〜(甘え♪)
いや、でも本当に。
ドラマとして単純に見るなら十分におもしろいドラマだったんじゃないか、と思ってるんですよ。
でも、期待していたものがなかったりするとやはりね。
「これもありだな」っていうものでもなかったし。

見てみて「ちょっとこれは……」と思っていることを一応整理して書いてみたのですが、たいへんでした〜。
「キャー!素敵〜〜!!」ってツボ羅列ってすごく楽しくて楽な作業なんだなって改めて思いました。

木村さんは……どう思っているんでしょうね。
でも、鎌作さんとの仕事は好きみたいですけれどね。

続編への期待値は……(笑)

とある中居ファン
とある中居ファン
2006年7月8日15:38

ユーりさま。。お疲れ様です。。☆
ファンって大変ですよね。色々考えちゃいますもん。気楽に見れない。
木村君は幸せもんです。。☆ こんなに愛されて。。。

遅くなりましたが、コメントありがとうございます♪嬉しかったです。
私は中居ファンである前に、妻であり、母である。
当たり前の事が、ここ最近特にキチンと出来ていない苛立ちがどこかにあって、
それが形となって現れた時にどうしようもないほど動揺してしまいました。
まずは今おかれている状況をキチンとして、
中居くんを楽しむ(笑)事に留意したいと思います。
コメント、ありがとうございました!

中居くんがドラマやったら(やりますよね?近いうちに!)
今度は中居ファンがあたふた〜あたふた〜しながら見るのでしょうね。
その時も熱い感想をお願いしますね。。☆

ユーリ
ユーリ
2006年7月8日18:32

>とある中居ファンさま

コメントありがとうございました♪

実は私もですね、
最近きちんとできてないんですよ。
とあるさんの日記を読んで「もしや同じかな……」
と思ったのです。
やるべきことをきちんとやっていないと心苦しくて
楽しめない、なんていやですものね。

私もキチンとしなきゃ!

中居さんのドラマの時?
……私、たぶんこんなに冷静でいられないと思います………

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